宝泉寺の法話と絵つき御朱印

第2回 【津島てら・まち御縁結び】より、もう1か寺ご紹介したい。

宝泉寺は浄土宗西山禅林寺派、500年の歴史をもつ古刹である。山門をくぐると樹齢400年の大楠がシンボルのように境内に枝を伸ばしている。この日は伊藤信道住職による「しあわせ」についての法話と副住職による絵つき御朱印の授与が行われた。

「ここは宝泉寺といいます。漢字で書きますと宝が泉のように湧いてくるお寺なんですけれども、残念ながら宝はございません(笑) ただ、境内には樹齢400年を超える楠があります。正確な樹齢は私共も分かりませんが、県のほうから樹木医さんが10年に1回いらして診断をしてくださいます。その方によると年輪を実際に数えてみないと正確なことはわからないそうですが、数年前に枝を切った際に、その枝が年輪180年を数えましたのでざっと400年かもう少し経っているかと思われます。」

「ある、インターネット上のアンケートで日本中の方を対象に愛知県といったら何を連想するかというアンケートがありました。皆さんは何だと思いますか?

 

…お寺が多い?あ、それは(10位以内に)入ってなかったですね。…トヨタ…はい、それは1位でした。では2位からは?

5位 名古屋城 9位 ひつまぶし …実は10位以内の7つが食べ物です。2位 味噌カツ 6位 味噌煮込み 3位 ういろう 4位 きしめん 7位 ドラゴンズ 8位 名古屋コーチン 10位 天むす」

 

愛知県民が思うランキングと少しちがいませんか?しかし、全国的なイメージではこうなんですね。」

 

「さて、次は何のランキングかあててくださいね。

1位 顔がいい 2位 背が高い 3位 家柄が良い 4位 若く見える 5位 スタイルが良い

6位 声がかわいい(かっこいい) 7位 スタイルが良い 8位 友達が多い 9位 大手企業に就てめている 10位 まめに連絡をくれる

 

はい、結婚の条件ですね。ただし、結婚してみて必要のなかった条件だそうです。

このように思い込みやイメージは必ずしも当たっているとは言えない場合がありますね。」

 

 

ご住職の軽妙な語り口に皆が引き込まれていく。

「さて、今日の本題です。『幸福とは、縁ある人々との人間関係を噛みしめて、それを深く味わうところに生ずる感謝の念に他なるまい』

森信三(半田市出身の哲学者)の言葉の引用で、私はこれが一番しっくりくる言葉だと思うのですが、しあわせとはありがとうの気持ちを持てることかと思います。」

 

ある宝石チェーン店の社長さんがいらっしゃるのですが、途中からお坊さんになったんです。その方は1日に100万遍お経を唱えることを課されました。

その方は今は宝石店は他の人にゆずって完全にお坊さんとして生活されています。

彼は今はありがとう1日100回運動というのをされています。

 

皆さん、今日はありがとう、と言いましたか?もしかしたらまだ1回も言ってない方もいるかもしれませんね。

日本人はなかなかありがとうという言葉を口に出せないようです。

しかし「ありがとう」と言葉に出すと相手に気持ちが伝わるし、自分も幸せな気持ちになります。

これからどうしたら「ありがとう」という言葉が言えるのかをお話ししていきたいと思います。

 

なぞかけで有名な一休さんの逸話に「へそ曲がりの松」というのがあります。かなり曲がりくねった松で、一休さんはこれをまっすぐに見ることができるものはいないかと問う。

皆があらゆる方向から見てみるのですがどこから見ても曲がりくねっている。

それである人が『これはそうとうへそ曲がりの松だな』とつぶやくと、一休さんは「それがまっすぐに見るということです」とおっしゃられた。つまり、ありのままを認め、受け入れることが大事ということなんですね。

 

ありのままの自分を認め、受け入れることで人へも素直に感謝の言葉を言えるようになるのではないかと思います。

「宝泉寺は京都のもみじが有名な永観堂が本山になります。横にポスターが貼ってありますが、ここの阿弥陀様は変わったお姿をしております。見返りの阿弥陀様といいまして左90度をむいています。お寺の正式な名前は禅林寺というんですけれども、通称永観堂といいます。

余談ですが南隣は有名な南禅寺です。実は昔、禅林寺の南の土地を分けてもらって建てたのが南禅寺で、禅林寺の南ということで、この名がついたそうです。

さて、名前の由来になった永観というお坊様が今から約900年前に禅林寺の住職になられて、その方が2月15日の明け方に一人で本堂でお念仏をしながらぐるぐると回る行をしておられた。ところがつい、うとうと、とされてしまった。その歩みが止まった時に「永観、遅いぞ」という声が聞こえたので目を開けてみると仏さまが目の前に立っておられたとのこと。その姿が尊いとのことでご本尊は横を向いたお姿になっております。

 

これをご覧になったお坊様の言葉ですが「まゆみの法則」というのがあります。

 

相手のことを「待つ 許す 認める」これを心がけることが大事であると。

この後も

・感動したらそれを表現する。感謝したら言葉に出す

・人間思い通りにならないのが普通

・恨まない 憎まない

・宿運を知る

・目の前に宝物はある

・今が一番幸せ

 

という心構えを、長年のお檀家さんとのお付き合いなど僧侶としての経験を交えながら説いてくださった。

法話終了後は、始まる前にお預けしていた御朱印帳を受け取る。この日はご朱印帳を持参した方のみ希望により直筆御朱印の授与を受けることができた。副住職手ずからのかわいらしいお地蔵様の御朱印がいただけた。

 

宝泉寺本堂は来年度には再建工事にはいるとのこと。是非一度お参りに訪れていただきたい